フランス発の傑作ADV「HEAVY RAIN 心の軋むとき」

PlayStation 3を買いました。

1つには、Blu-rayディスク再生機としての需要。そしてもう1つには、これからご紹介するゲームPS3「HEAVY RAIN 心の軋むとき」をどうしてもプレイしたくなったから、であります。

友人宅でこの「HEAVY RAIN 心の軋むとき」の体験版をやってからというもの、このゲームの物語の結末が気になって気になって仕方がなくなってしまったのです。PS3をお持ちの方は、ぜひPlayStation®Networkに接続して、体験版をプレイしてみることをお勧めします。

このゲーム、何が素晴らしいかを説明するのが非常に難しいです。とりあえず列挙してみます。

  • ゲームシステムそのものが素晴らしい。詳しくは後述。
  • 人物の表情、動きの作り込みが半端無い。すげぇリアル。
  • タイトルにある通り、ゲームを通して情景の中心にあるのが「雨」の表現なのですが、これがまた美しい。
  • 台詞の吹き替えも上々。
  • 音楽が素晴らしく良い。思わずサントラ買いました。
  • やっているうちに、本当に心が軋む。や、マジで。

もうこれで充分な気もしますが、一番重要なポイント「ゲームシステムそのもの」について、少し冗長になりますが説明してみたいと思います。

プレイヤーが操作することになるキャラクターは4人。その中でも中心となる主人公、イーサン・マーズの冒頭シーンから説明してみましょう。

ゲームが始まると、何故かベッドにパンツ1丁で寝ている男が現れます。彼こそが主人公、イーサン。プレイヤーは、イーサンを歩き回らせたり、ボタンを押して「頭の中で考えていること」を聞くことができます。

さて、まず彼がしなくてはならないことは歯を磨き、シャワーを浴び、着替えをすること。舞台は彼と、彼の妻、そして二人の息子の住む自宅であることが分かります。ともかく、バスルームに向かってみることにします。

バスルームの手前には洗面台があります。夫婦の歯ブラシと、その横に子供用歯ブラシが2本。さぁ、歯を磨きましょう。

  1. アナログスティックを操作して、歯ブラシと歯磨き粉のチューブを手に取ります。
  2. アナログスティックを回転させて、歯磨き粉のチューブの蓋を開けます。
  3. アナログスティックをゆっくり左から右へ操作して、歯ブラシに歯磨き粉を搾り出します。
  4. コントローラを上下に振り、前歯を磨きます。
  5. コントローラを左右に振り、奥歯を磨きます。
  6. アナログスティックを操作して、蛇口をひねって水を出します。

……って、どんだけ面倒臭いねん!

オレンジジュースを飲むにも、冷蔵庫の前まで移動し、アナログスティックを操作して冷蔵庫のドアを開け、冷蔵庫の中からボタンを押してオレンジジュースを取り出し、コントローラを上下に振ってパックを振り(細かッ)、アナログスティックをゆっくり傾けて口を付けて飲む(ここで勢い良く傾けるとジュースをこぼします)。なんてダラダラしたゲームなんでしょう。

しかし、やっていくうちにプレイヤーは気付きます。これは、自分が「主人公の演技をしている」のだ、と。

誰かと会話を交わしている間にも、自分は自由に動け、アングルを変えることもでき、様々な行動を取ることができます。

例えば、ベッドに座って俯きながら過去の話をする女性の横で、貴方ならどうしますか?ぼんやり突っ立って話を聞く?ベッドの枠にもたれ掛かって聞く?いや、それとも彼女の向かい正面にある椅子に腰掛けて顔を見ながら話を聞こうか。大胆に、彼女の隣に座って、横から顔を覗き込むようにして親愛の情を示す?

そうした動きや距離感、会話をするタイミング、話題を選ぶ順序などで、物語はそれぞれ異なった無数の展開を見せます。

そうです。このゲームは、「海外サスペンスドラマを演じながら、物語を作り上げていくゲーム」なのです。

このゲームを一番楽しんだのは、僕が演じる登場人物たちを見ながら、さながら1本の海外ドラマを見た気分になった相方だったかもしれません。

このゲームを僕がプレイする間、相方は必ず隣で画面を見ていました。相方もこのドラマの先の展開が気になって仕方が無いらしく、次週の放送を楽しみにしているかのように自分の推理を述べてみたり、僕の演技や選択に「ここはこうじゃないか」と文句を言ってきたり、存分にのめり込んでいました。

その結果、相方がいない間にエンディングを迎えてしまった僕は、相方に結末を見せるために、もう一度前回の途中からプレイしなくてはいけなくなったくらいです。

こうしたゲームシステムですので、物語は無数に分岐し、様々な結末を迎えます。なんと、4人の登場人物のうち誰かが死んでしまっても、物語は続きます。それもまた1つの結果として受け入れられながら、残った登場人物それぞれの行動は続くのです。つまり、このゲームには所謂「ゲームオーバー」はありません。仮に登場人物4人が全員死んでしまっても、何らかの結末に至るのです。なんて懐の広いゲームなんでしょうか。

脚本自体は必ずしも完成度が高いわけではないのですが、展開の見せ方が非常に上手く、気付けば止め時が無いくらい没頭していました。一度結末を迎えた後でも、「あの時ああしていたら、どうなっていただろう?」と別の結末を試してみる楽しみがあり、なかなか飽きさせない作りになっています。

さらに、PlayStation®Networkでは追加エピソードのダウンロード販売が行われており、本編の行間のエピソードを楽しむことができます。

文句を付けるとすれば、脚本に若干の緩さがあること、特定のシーンでフリーズすることが2回あったことくらいです(そこが結構緊迫したシーンの途中だったので、ちょっと水を差されましたが)。その他の不満が全くありません。

ともかく、島元オススメの1本であります。ついにこういうゲームが動く時代になったんだなぁ、と感動すら覚える「HEAVY RAIN 心の軋むとき」。CERO D指定(17歳以上対象)なので、16歳以下のお子様は大人になるまで我慢してもらって、是非一度(体験版でいいので)プレイされることをオススメします。

あ。

CERO D指定なので、若干の暴力的・残酷な表現が含まれております。そういうのダメな方は済みません。

ちょっと褒め過ぎかな?でもホント、いいゲームです。ぜひやってみて欲しい。